明けても暮れても本のこと。

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あけましておめでとうございます。

非国民扱いされようが、餅は苦手。
それでも、時計の針が天井を通り過ぎる前に一升瓶を空けるくらいには、
無事に正月を過ごしています。

年末は疲れが噴出してグロッキーでしたが、ようやく少しリラックスモード。

 

「元旦に始めたものは決して続かない」
という世界の大原則を知りつつ、やはり区切り目には何か書きたくなってしまうもの。

今年はできるだけ「ですます」調で書いていこうかなと思います。
少し、心を柔らかくしたいので。

 

 

2017年。

初日から読みたい本のことばかり考えています。
大晦日も、KYOKUGEN 2016での中村俊輔の登場を見逃したと悟った時点で、
ガキ使を見る気にもなれず買ってきたばかりの『レ・ミゼラブル』を開き、
ジルベスターコンサートが始まるまでビヤンヴニュ・ミリエル司教に慈悲とは何かを諭されていました。
ブータン国王みたいな人ですね、この方は。

ジルベスターコンサート、今年のカウントダウン曲は「ダッタン人の踊り」でしたね。
おしまいの音が伸びる曲だと、日付が変わる瞬間に合わせやすいから安心して聴けます。
それを思うと去年(一昨年か)の「ボレロ」は本当に凄かった。
今見ても泣ける。

それはそうと、とにかく年が暮れても明けても、本、本、本。
「開けても暮れても」と言えば、この本は去年深夜に爆笑しながら読んでいました。

明けても暮れても本屋のホンネ
明けても暮れても本屋のホンネ

ただ去年は、ここ5〜6年で初めて読了冊数が100冊を割ってしまいました。
単なる目安なので別にいいのですが、やはりもっと読書に没頭したかった、というのが正直なところ。

対して、「気になる」と思ってブクログに本棚登録した本は500冊くらい。
興味の幅自体は広がっているのだけど、集中が分散してしまっている印象。

今年はペースを取り戻しつつ、テーマに集中して洞察を得に行く時と、
拡散系でとにかくその瞬間の関心に手を伸ばしてみることと、
メリハリとバランスをうまく取っていきたいと思います。

好奇心のレベルを一つ上げて、もう少し自分に引きつけた読書をできればいいな。

 

 

 

今年学びたいと思っている分野がいくつかあるので、
ダラダラと語りつつ気になっている本をひたすら列挙。

 

「表現」×「治癒」

特に「物語」が人を癒す力について興味があります。
ただ、「いわゆる物語」ではなくても、音楽、絵、ダンス、
いろんな手段による「表現」に可能性があるのでは…
とも感じているので、大きなくくりで「表現」。

「読む」「観る」「聴く」にせよ、「書く」「描く」「奏でる」にせよ、
顕在化していなかった何かに触れ、表す、という行為には、
人を癒す力があると最近強く感じています。
(逆に破壊的な力になってしまう場合のことも追ってみたい)

大きなきっかけになったのは、
ユング心理学や箱庭療法を日本に導入した心理学者の故・河合隼雄さんの著作と、
村上春樹さんの小説をたくさん読んだことだと思います。
中・長編小説は全部読みました。

中でも、河合さんの『影の現象学』は本当に読み入ってしまった一冊。

影の現象学 (講談社学術文庫)
影の現象学

無意識の領域に抑圧してしまったものとの対峙。
向き合うことには危険も伴うが、そこをどう統合していくか。
それは人の治癒や創造性と強く繋がっているのだと感じました。

Whole(全体)という言葉は、Heal(癒す)やHoly(聖なる)と同じ語源だと言われています。
意識と無意識、心と体、自分と他者…
分断されてしまったものを繋ぎ、全体性を取り戻す。
そのために、物語がもたらす力は大きいものなのではないかと。

河合さんはよく村上作品を引用し、本人と対談も行っています。

村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫)
村上春樹、河合隼雄に会いにいく

ということもあって、やはり村上作品や本人のインタビュー集を読むと、そんなことを感じます。
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011』、
これはほんっとうに面白く、創作意欲をくすぐられるので、好きな人は是非読んでみてください。

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011 (文春文庫)
夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです 村上春樹インタビュー集1997-2011

村上春樹と治癒といえば、
年末に出会った『増補 思春期をめぐる冒険 心理療法と村上春樹の世界』も、
頭の中の漠然としていた考えがカチャカチャ音を立てて形になっていくような良い本でした。

増補 思春期をめぐる冒険:心理療法と村上春樹の世界 (創元こころ文庫)
増補 思春期をめぐる冒険 心理療法と村上春樹の世界

村上作品は、去年は『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』『ダンス・ダンス・ダンス』の初期作品と、『スプートニクの恋人』を読み返しました。
今は『ねじまき鳥クロニクル』を再読中。
2月には新刊も出ますね。

このテーマで今年読もうと思ってすでにスタンバイしているのが、

身体はトラウマを記録する――脳・心・体のつながりと回復のための手法
身体はトラウマを記録する 脳・心・体のつながりと回復のための手法

物語(tale)の臨床心理学:“お話"にならないお話がもつ治療的意味 (箱庭療法学モノグラフ)
物語(tale)の臨床心理学 “お話”にならないお話がもつ治療的意味

臨床ナラティヴアプローチ
臨床ナラティヴアプローチ

長い年月を経ても語り継がれる「神話」には様々な物語や人間の深層心理の原型が表れているというので、
そこも掘り下げられればいいなと思っています。

 

近現代史を中心とした歴史

学生時代あれだけ世界史好きだったのに、覚えているのは固有名詞ばかり。
大事な流れや因果関係が思い出せないことが多く、今の視点で学び直したいなと思っています。

「世界史」と言えばマクニールの『世界史』。
家にあり、これまでも何度か挑戦したけど、どうにも肌に合わず。
まず読み返したいなと思うのは『若い読者のための世界史』。

若い読者のための世界史
若い読者のための世界史

息子に語りかける風なので、これは分厚いけどやさしいです。

歴史の全体像も学び直したいけど、やはりある程度テーマを絞った濃いものも読みたいところ。
去年上巻だけ読んでとても面白かったけど下巻まで間に合わなかった『サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福』。

サピエンス全史(上)文明の構造と人類の幸福
サピエンス全史 文明の構造と人類の幸福

本好きとしてはたまらない『紙の世界史 歴史に突き動かされた技術』『印刷という革命 ルネサンスの本と日常生活』。

紙の世界史: PAPER 歴史に突き動かされた技術
紙の世界史 歴史に突き動かされた技術

印刷という革命:ルネサンスの本と日常生活
印刷という革命 ルネサンスの本と日常生活

「いつか本腰入れて…」と思いながらも後回しにしていた『暴力の人類史』。

暴力の人類史 上
暴力の人類史

まだまだ出てきそうですが、「今年こそ」と密かに狙っているのが『ローマ人の物語』シリーズ。

塩野七生『ロ-マ人の物語』の旅 コンプリ-トセット 全43巻
ローマ人の物語

文庫だと全43冊。
一昨年チャレンジして4巻までで止まっていましたが、
去年末念願叶ってお会いできたある人から、
「これは読んでおいたほうがいいよ〜」
と言われたこともあって、もう一回。
4巻まででもかなり面白かったので。

日本史は教科書を頭から読み直し始めてみたけどいまいちピンとこないので、
まずは近現代に絞って、家にある半藤一利さんので幕末から読んでいこうと思います。

幕末史
幕末史

昭和史 1926-1945
昭和史 1926-1945

やはり口語体は親しみやすいです。

あとは、今年もお世話になるであろう朝日出版社さまの2タイトルも。

それでも、日本人は「戦争」を選んだ
それでも、日本人は「戦争」を選んだ

戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗
戦争まで 歴史を決めた交渉と日本の失敗

名著『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』も今年こそ。
そういえばこの本は高校の時から、
僕に消しゴムのカスを投げてきたりした悪い友人がすすめていました。

失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫)
失敗の本質 日本軍の組織論的研究

 

 

量子力学をはじめ、理系本

「理系の本が面白い!」と思ったきっかけになったのは『宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎』。

宇宙は何でできているのか (幻冬舎新書)
宇宙は何でできているのか 素粒子物理学で解く宇宙の謎

そろばんを習っていたのでかつて算数は得意でしたが、
高校数学になってから2点(100点満点)をとるくらい理系への興味は失せていました。
でも、この本に何かが呼び覚まされました。ロマンの力ですね。

数学から生物学まで理系の本は何でも読んでみたいと思いますが、
特に「量子力学」は、ここ数年読んだ本でいろいろなジャンルに飛び火して出てきた分野。
今年中にある程度はおさえておきたいなと思っています。
(去年もそう言っていたのですがほぼ手付かずだったので)

手元にあるのは『量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待』。

量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待
量子力学で生命の謎を解く 量子生物学への招待

リーダーシップに関わる『シンクロニシティ[増補改訂版] 未来をつくるリーダーシップ』や、
対話をテーマにした『ダイアローグ 対立から共生へ、議論から対話へ』にも出てくる、
物理学者のデヴィッド・ボームの本も読めたらいいなと思います。

全体性と内蔵秩序
全体性と内蔵秩序

あと、今年絶対に読みたいのは、
先日スーパープレゼンテーションでも登場した故ブノワ・マンデルブロのフラクタル関係の本。

フラクタリスト――マンデルブロ自伝――
フラクタリスト マンデルブロ自伝

カオスとフラクタル (ちくま学芸文庫)
カオスとフラクタル

美の構成学―バウハウスからフラクタルまで (中公新書)
美の構成学 バウハウスからフラクタルまで

ごく単純な公式を永遠繰り返すとことで現れる自己相似の美しい複雑な図形。
「小さな部分の中に全体と同じ形が永遠表れ続ける」という概念は、
面白いことに経営書にも出てきます。

全員経営 ―自律分散イノベーション企業 成功の本質
全員経営 自律分散イノベーション企業 成功の本質

「金太郎飴みたいな組織」と言われたら悪口になりますが、
一人ひとりの構成員の中に全体のビジョンが相似で出てくる組織は強いと思います。

「理系本」と書いてしまいましたが、「〜系」と分けるのは便宜的な話であって、
むしろ分けることで損なわれてしまうこともたくさんあると思います。
ジャンルを問わず、いろんな分野を繋げて考えていけると、発見が広がりますね。

 

 

 

年末に本棚を整理していて、
「文学」への関心も年々増していっていることに気がつきました。
今年はもっと小説も読みたいと思っています。

まずは昨日から読み始めた『レ・ミゼラブル』。

レ・ミゼラブル (1) (新潮文庫)
レ・ミゼラブル

「ながらスマホ運転」事故を追ったノンフィクションで『神経ハイジャック もしも「注意力」が奪われたら』という本が去年出ました。
事故を起こした本人に判決で「『レ・ミゼラブル』を読むように」と言い渡されるシーンがあって、
なんだか読まなきゃいけない本のような気がしていました。
映画もとても評判が良いようで、読み終わったら観ようと思います。

次に、全16巻で、この年末年始に読もうと思っていたけどちょっと無理だと悟り始めた『新・平家物語』。

新・平家物語(一) (吉川英治歴史時代文庫)
新・平家物語

去年亡くなった恩人が珍しく「これは毎年読み直す」と言っていた本。
「諸行無常」「盛者必衰」
なんだかね。必ず読み通しますよ。

「スペイン語やってたのなら原典で読め」と言われそうですが、『ドン・キホーテ』。

ドン・キホーテ〈前篇1〉 (岩波文庫)
ドン・キホーテ

去年読んだミラン・クンデラが、
「セルバンテスとともに一つの偉大なヨーロッパの芸術が形成され…」
と称賛していたので気になりはじめ。
小林秀雄さんの「勇ましいものはいつでも滑稽だ」という言葉が好きで、
読んだこともないのにドン・キホーテにはこのイメージが重なっています。

「ザ・ファンタジー」も読みたいので、
数年前にまとめ買いしたものの、1巻まで読んでそのままになっていた『ゲド戦記』もそろそろ。

影との戦い―ゲド戦記〈1〉 (岩波少年文庫)
ゲド戦記

キーワードの「真(まこと)の名」。
惹かれるものがある、奥深いイメージだなと感じます。

今年生誕150年ということで、夏目漱石も何タイトルか読めるといいな。

 

 

 

こうやって皮算用しても、読みたい本にどんどん出会って乱されていってしまうのだと思います。
それがまた喜びです。

今年も素晴らしい本とたくさん出会えますように。
多くの人たちにとっての、そういう場をたくさん作れますように。

 

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(今年の蔵書整理の様子)

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