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根本的な自信について

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月が変わるたびに、「今年の何分の何が過ぎたのだろう」といちいち計算する癖がある。
7か月が終わった先月頭は、「割り切れずに中途半端だな〜」と感じた記憶がある。
だけど8か月が終わった今は、「3分の2か…」という、もう少しリアルな実感がわいている。

あと3分の1。

節目になったら何かやり出す(「ブログの更新を再開する」はとても典型的…)のは、
裏を返せば「節目にならないと始められない」弱さでもある。

分かってはいるけれど、たとえそうであろうと、
やらないよりはやった方がいいのだろう。たぶん。

ということで、久しぶりにキーボードを叩いてみる。
あまり時間を割くつもりはないので、ばーっと。

 

 

 

「根本的な自信」というものについて。

 

「根本的な自信」という言葉は直感的に出てきたものなので、
あまり語源的な意味は考えていない。
ただ第一印象でしっくりきているというだけ。

「根本的な自信が見当たらなくなった」という感覚が、ここ数年強い。
「見当たらなくなった」などと考えているということは、
「それがあった時期もあった」という風にどこかで思っている証拠だと思う。
そもそも持っていなかったものに対して、「失う」ような感覚がわくことは多分ないだろうから。

 

振り返ると、「それがあった」ように思い当たる時期もある。
ありがたいことだと思う。

でも、ある程度でも自分に自信が持てていた時でも、
能力や技能において誇れていたと思えることは、
不思議なことにあまり思い当たらない。
傲慢になっていた時期はあったけれど、
「絶対的にこれはできる」という確固たる自信を持てていたものは、特にない。

 

そこにあったのは、「学び続ける謙虚さ」「何としてでもやり切りたい執念」だけだったと思う。

能力がなくても、「何かにぶち当たったら学べばいい」「できる人に謙虚に頼めばいい」と。
「執念さえあれば、色々なことが味方してくれる」と。

 

今、「根本的な自信が見当たらなくなった」と感じているのならば、
「学び続ける謙虚さ」と「何としてでもやり切りたい執念」が欠如しているのかもしれない。

そう改めて言葉にすると、ものすごい危機感を覚える。

謙虚さを失ったら、いったい自分に何が残るのだろうか、と。
でも、本当に大切なものを見失いかけている時に違和感を感じられる、
というのは、とても恵まれていることだと思う。

自分への正直さを無くす時が、一番怖い。

 

 

今日の本

写真家・星野道夫さんの没後20年を記念して、
あちらこちらの本屋さんでブックフェアが開催されている。

恥ずかしながらこの方のことは知らなかったのだけど、
棚に平積みされている写真集を何ページが繰ると、
アラスカの圧倒的な光景に呆然としてしまった。

 

星野道夫 (別冊太陽 日本のこころ 242)
星野道夫 (別冊太陽 日本のこころ 242)

確かこの本だったと思う。

深い青の空の下に広がる雪原に、
鯨の巨大な骨(おそらく肋骨)がストーンヘンジように無数に突き刺さっていて、
真ん中に十字架が一つ立っている写真があった。
言葉にできないけど、次のページにいけなくなるような強さがあった。

「呪術的」というには爽やかすぎるけど、
「自然美」というには魔術的すぎるような。

人が見惚れるものには、たいてい両義性が備わっている気がする。
時には矛盾を感じるほどに。
(「呪術的」と「自然美」を対にするのはまだ言葉の納得度が全然足りないけど)

去年日本で引退したバレリーナのシルヴィ・ギエム。
「彼女のパフォーマンスは両性具有的・中性的」という声が多かった、
という話を思い出す。
年越しのラストパフォーマンス、あれは涙が出るほど感動した。

 

カリブー 極北の旅人
カリブー 極北の旅人

彼が愛してやまないアラスカの自然の中でも、
カリブーに対する思い入れはとても強かったそう。
ちなみに、和名が「トナカイ」、英名は「レインディア」、
「カリブー」は北アメリカに生息する個体を指すときに使い、
イヌイット語が語源になっているそう。
どれも素敵な名前だと思う。

「トナカイの絵を描け」と言われたら、
絵心のない自分はおそらく「前に長い角」を描いていたけど、
むしろ後ろ側に伸びて、折れ曲がって上に突き出る角の迫力がすごい。
形にはだいぶ個体差があるけど、枝分かれした部分は人の指みたいで、
角全体が、見えない球体を掴んでいるか、天を仰いでいる両腕に見えた。
とにかくすごい。

 

星野道夫著作集〈1〉アラスカ・光と風 他
星野道夫著作集〈1〉アラスカ・光と風 他

写真だけでなく、この人は文章もとても好き。
誇張したり着飾った表現はなく、「短文。短文。」で続くとても良いリズムの文章。
達観した落ち着きのように感じる時もあれば、
初めて触れたものへの少年のような感動が表れているところもあり、
個人的には抵抗感が全然なく、すんなり入っていってしまえる。
パラパラとしか読めていないけど、全著作読んでみたいなと思えた。
危険だ…

 

 

カリブー

カリブー。
僕はヤックルの姿を重ねて見ているのかもしれない。

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